秋風と女郎花

朝夕の涼しさが心地良いですね。

西行(さいぎょう)の句を紹介します。

秋来ぬと

風にいはせて

口なしの

色染めそむる

女郎花かな

(あききぬと

かぜにいわせて

くちなしの

いろそめそむる

おみなえしかな)

秋来ぬの「ぬ」は、完了のぬ。

秋が来たという意味になりますね。

風に「言わせ」たのに、「口なし」の。というのが面白く、「口なし」は、黄色の染料になる「クチナシ」とかかっています。二重の遊び心。

(ちなみに、クチナシの花は白いのですが、黄色に染める染料になるのです。不思議。)

↑女郎花は、梔子色(くちなしいろ。黄色っぽい)

作者の西行は、平安末期から鎌倉時代にかけての武士であり、僧侶で歌人でもあった人物。

小倉百人一首の、

嘆けとて

月やはものを

思わする

かこち顔なる

わが涙かな

で、ご存知の人もいるかも知れませんね。

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