高校 古典 雨月物語 怪異(おばけ)の話

おはようございます。朝塾です。

古典学習に苦手を感じる人の多くは、「言葉わからないし、難しいこと言ってそう」というイメージから、遠ざけているケースがあります。まずは現代語で概要をつかみ、そこから古典文法や解釈に移っていきましょう。こちらでは、現代語で概要をつかむために一部抜粋した古典の名作を紹介していきます。気楽に楽しむくらいの気持ちでやっていきましょう。

雨月物語(うげつものがたり)は、江戸時代に上田秋成によって書かれた、9つの物語からなる短編集です。そのどれもが、超自然の怪異(かいい。あやしいこと、不思議なこと)扱っています。朝塾とも縁の深い、「真間手児奈(ままのてこな)」が出てくるお話し【浅茅が宿(あさじがやど)】を紹介します。

「さりともと 思ふ心に はかられて 世にもけふまで 生ける命か」(あなたはきっと帰ってくる、そう信じこんで、とうとう今日まで生きながらえてしまったのです)

【浅茅が宿】(朝塾ショートバージョン)

下総(現在の千葉県)の葛飾郡、真間に勝四郎という農夫が住んでいました。勝四郎は美しくて聡明な妻である宮木(みやき)の反対を押し切り、商人となって上京することを決心します。「この秋には必ず帰る」と約束をし、旅立ちました。

関東では足利氏と上杉氏の不仲ゆえ、情勢が不安定で、人々は戦乱で逃げまどったり、駆り出されたりしてほとんどいなくなりしていました。待っている宮木の不安は募る一方でした。

勝四郎は京での商売がうまく行ったのですが、上杉氏が鎌倉御所を攻め落としたことを聞き帰ることをためらっているうちに重い熱病にかかってしまいました。近江(現在の滋賀県)で養生していると、7年もの月日が流れていました。

やっとの思いで勝四郎が故郷にたどり着くと、田畑は荒れ果て、昔とは様子が変わっています。それでも我が家は元の状態で存在していて、中からは年を重ねた妻が返事をしました。勝四郎は長年の無沙汰(ぶさた)を詫(わ)びて、泣く妻を慰(なぐさ)めながら眠りました。

翌朝、寒さで目覚めると、家は朽ち果てて蔦葛(つたくず)が生い茂り、荒れ果てた浅茅が宿(=荒れ果てた家)に変わっていました。寝所(しんじょ)には妻の墓があり、傍らには妻の辞世の歌がありました。昨夜の妻はすでにこの世のものではなく、彼女の亡霊だったのです。

その後勝四郎は、妻の供養をしてくれたおじいさんから、宮木は真間手児奈(ままのてこな。絶世の美女で、多くの人からの求婚を受け、断り切れずに身投げした娘の伝説)よりも哀れであったと聞き、悲しさのあまり、次の句を詠みます。

【いにしえの 真間の手児奈を かくばかり 恋ひてしあらん 真間のてごなを】

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