おはようございます!朝塾です。
火曜日にお届けしている、古典シリーズ。今朝は単語の持つ意味の範囲について、現代語と古語を比較しながらお話しします。
まずはじめに、「をかし」と「おかしい」について、意味の範囲差がどのくらいあるのかを比べてみましょう。
古語の「をかし」
①こっけいだ。 ②興味がある。おもしろい。 ③趣がある。風流だ。 ④美しい。かわいい。 ⑤すばらしい。見事だ。 ⑥×
現代語の「おかしい」
①こっけいだ。 ②興味がある。おもしろい。 ③× ④× ⑤× ⑥変だ。あやしい。
1つ例を挙げるなら、「宵過ぐるほど、すこし寝入りたまへるに 御枕上(おんまくらがみ)にいとをかしげなる女いて…」(源氏物語、夕顔)では、「枕元に美しい女がいて…」ということです。決して、「枕元に怪しげな女がいて…」と誤読しないように気を付けてください。その後の文章が全く違うものになってしまいます。
もう一つ、例を挙げておきましょう。
古語の「あはれ」
①しみじみとした情趣(じょうしゅ)。 ②深い感動。 ③愛情。愛着。慕情(ぼじょう)。 ④愛らしさ。いじらしさ。 ⑤悲しさ。悲哀(ひあい)。 ⑥気の毒さ。同情。
現代語の「あわれ」
①× ②× ③× ④× ⑤悲しさ。悲哀(ひあい)。 ⑥気の毒さ。同情。
例は、「今はとて天の羽衣(あまのはごろも)着るをりぞ君をあはれと思ひでける」(竹取物語。かぐや姫が月に帰る直前に、天皇に残した離別の歌)では、「あなたを愛しく思い出しています」となります。「あなたって、かわいそう」ではないのですね。場面が場面なだけに誤読が怖いところです。古語の持つ意味の広さを理解したうえで、物語の表現の広がりを実感して行きましょう。
単語の持つ意味の範囲を体得していくには、「習うより慣れろ」です。ぜひたくさんの古文に触れて、慣れていってください。
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